どうも、「夫婦は他人」のプー太(夫)とプー子(妻)です。
私たちは夜な夜な、食卓に録音機を置いて、夫婦の本音をしゃべっています。ここに出てくるセリフは、その録音に実在する発言だけ。台本なし、創作なし、やらせなし。
(録音 05:29)は「録音開始から5分29秒に飛び出した発言」のしるし。——今日も、時刻つきの証拠つきでお届けします。
「昔はあんなに好きだったのに、いまは顔を合わせるのもしんどい」
最初はみんな仲が良かったはずです。どこで、どう変わるのか。46分話しました。
先に、作り方を書いておきます。途中で、世の中の意見も見てみようという話になり、世間でよく聞く「夫婦仲が悪くなる原因」を30個ほどならべて、一つずつ読み上げて「うちはどうか」を答え合わせしました。 録音の半分近くがその時間です。ただし、項目の文そのものは、二人の発言としては一言も引用していません。 項目の中身は私たちの言葉で要約し、引用するのは二人の反応だけです。
先に答え
- 悪くなる入口は「言いたいことが言えなくなる」こと。 言わないから、静かに積もる
- 原因を30個ならべたのに、うちに当てはまったものはほとんどなかった。 割れた場面は2つ、言い合いになって片方が引き下がったのは「手伝おうか」の1つだけ
- 結論は「正解がないから、話すしかない」。 よその正解はうちには効かない。うちの答えは、うちで話して作る
回り道も、そのまま書きます。
1. 「いつからそれがこう、敵になるんだろうね」
始まりは、この一言。
「いつからそれがこう、敵になるんだろうね。しかもさ、結構な強敵になるよね」(録音 01:31)
好きで選んだ相手が、いつのまにか一番手ごわい相手になっている。最初に出たのが、「言いたいことが言えなくなる」でした。
「だからこそ言いたいことも言えなくなっちゃう。だから言いたいことを言いあおうみたいな感じ」(録音 03:44)
友達なら、合わなければ距離を置けます。でも結婚は、両親も親戚も巻き込む関係。簡単に縁が切れないからこそ、言えなくなる。
「ここで言ったら『めんどくさいな』が先に来ちゃうんだよ」(録音 04:05)
「めんどくさい」で飲み込んだものは、消えません。 そしてこの記事は最後、上の「言いたいことを言いあおう」に戻ってきます。
2. 夫の答えは、子どもが生まれた時期でした
「いつから」に、夫が挙げた答えは一点でした。
夫「俺は子供だと思うんだよ」(録音 04:54)
世の中でもよく言われる、子どもを授かった時期の夫の側の対応の話です。ただ、夫が続けたのはこうでした。
夫「妊娠中、体が重いとか痛いとかも含め、わからない部分がある」(録音 05:38)
分かる、ではなく、分からない。そのうえで、こう続けています。
夫「けどそれを、少なくとも理解をしようとする努力をすることが大切だと思ってて」(録音 05:48)
分かることじゃなくて、分かろうとすること。 経験していない側にできるのは、それだけです。
3. なぜ、そこにこだわるのか
理由は、別のところで出てきました。
夫「妻との人間関係以上に大切な人間関係はないと考えてるから」(録音 09:10)
友人でも親でも仕事でもなく、妻。この話も、最後にもう一度出てきます。
もうひとつ、夫が言っていたこと。
夫「一生言われると思って俺は過ごした」(録音 08:36)
あの時期のことは、一生言われる。 最初からそのつもりで過ごしていました。
4. 「名前で呼ぶかどうか」で、意見が割れました
このあと、二人の答えがそろわない場面がありました。呼び方の話です。
夫「お互いのことは名前で呼ぶようにしてますね」(録音 19:01)
パパ・ママと呼び合うと距離が遠くなる感じがする——そんな話が続きます。でも、ここで意見がそろいません。
妻「でも私、別に何も意識してないわ、そこ」(録音 19:17)
夫「そこはじゃあちょっと意見が違いますね」(録音 19:29)
ここは着地しませんでした。この日、意見が割れたのはここと「手伝おうか」の2つ。片方が折れたのは、後のほうだけでした。
5. 原因を30個ならべて、答え合わせをしました
ここからが答え合わせです。正直に書きます。ほとんど当てはまりませんでした。 世間の話としては頷けるけれど、うちには当てはまらない項目が大半で、盛り上がりません。でも、たまに刺さるものが混じっていました。
世間の通説と、うちは逆でした
最初に刺さったのは、相手の愚痴に共感せず、いきなり上から目線でダメ出しのアドバイスをするという項目。世間では夫がやりがち、とされる話です。読み上げた直後に、妻がこう言いました。
妻「これは、私は結構やりがちです」(録音 22:56)
世間で言われているのは、こうです。
夫「一般的には旦那側がやりがち。奥さんは、ただ話を聞いてほしいだけで。」(録音 23:06)
うちは、逆でした。
妻「わかってるよ。わかってるけど、わかってるから最近言わないじゃん。」(録音 23:30)
夫「いや、いらね。俺それも言うじゃん。いや、いらね。求めてねえんだ。俺はただ話を聞いてほしいだけだから。」(録音 23:48)
「男はこう、女はこう」は、うちには当てはまりませんでした。 読んでいる方の家にも、その家の形があるはずです。
6. 無視は「気づけ」のサイン。だから挨拶だけはやめない
次に刺さったのは、気に入らないことがあると何日も口をきかないという項目。これには即答でした。
「これはだから、無視をするってことは気づけっていうサインだから。」(録音 24:03)
無視をするのは、興味がないからじゃない。気づいてほしいから。でも言葉にしないので、何に気づいてほしいのかは伝わらない。ここでも「言わない」が出てきました。そこから、うちで決めていることの話に。
「絶対に行ってらっしゃいとかさ、大事なことはさ、必ず言うようにしてるじゃない」(録音 24:36)
「もしそれで今日、どっちかが死んだとしたら絶対後悔するぞ」(録音 24:53)
喧嘩の途中でも、行ってきます・行ってらっしゃい・ただいまだけは必ず言う。うちはそう決めています。
7. 山場——「手伝おうか」で、はっきり言い合いになりました
30個のうち、いちばん反応が大きかったのがここ。「手伝おうか」と言って、家事や育児を当事者ではなく他人事として扱うという項目です。読み上げた直後に来ました。
妻「手伝おうかじゃねーよ」(録音 25:31)
これは夫も、世間でよく聞く話として知っていました。
夫「これね、よく旦那さんが赤ちゃんの世話をするときとかに、どうしたらいいとか手伝おうかとかって言うんだけど」(録音 25:37)
妻「おめえの子だよっていう奥さん側の意見ね」(録音 25:47)
ここまでは、二人とも同じ側。ところが少し先、トイレットペーパーの補充のような名前のついていない家事を放置するという項目で、また「めんどくさい」が出てきました。
妻「でもさこういうのが蓄積する」(録音 26:41)
妻「もう喧嘩するのもめんどくさい。どうせ喧嘩したところで改善しないし」(録音 26:49)
「めんどくさい」で飲み込む。飲み込んだものが積もる。 さて、ここから言い合いです。
夫「でもさ、じゃあ何か、庭の何かやってよっていう旦那がやってたとしてさ、手伝おうか?みたいな」(録音 27:16)
妻「それはあるけどさ、何か違うじゃん」(録音 27:25)
夫「いや、手伝おうかじゃねえ、お前の家の庭だよって話と一緒だよ、それは」(録音 27:27)
夫の言い分は、庭を頼むのも家事を頼むのも同じでしょ、というもの。妻の答えは、こうでした。
妻「それは違うんだよ、家事じゃん」(録音 27:34)
妻「ゴミ捨てとかさ、そういうのもさ、時間もさ、決まってるわけじゃん、曜日も」(録音 27:45)
やらなくても誰も困らない庭いじりと、やらないと生活が止まるゴミ捨ては、違う。 ゴミ捨ては曜日も時間も決まっていて、逃げられません。ここで夫が納得しました。
夫「そうかそうか、そういうことですか、はい、わかりました。」(録音 28:08)
夫が折れました。 46分のうち、はっきりぶつかって片方が引き下がったのはここだけです。「名前で呼ぶ」は割れたままでしたが、ここは違いが分かったから納得できました。
ただし、頼む側にも言い分があります
これだと「他人事にする側が悪い」に見えますが、逆向きの項目も刺さりました。 頼まれた家事を中途半端にやり、指摘されると拗ねる、という項目です。
「ありがとう、でもこうやってくれたらもっと嬉しいな」(録音 28:51)
「うちの場合は諦めている部分もあるわけじゃないですか」(録音 29:15)
まず礼を言ってから、注文をつける。 逆にすると、相手は責められたと受け取ります。うちは、いくつかは諦めて解決しています。
8. 行き着いた答えは「正解がないから、話すしかない」でした
最後に残っていた項目は、忙しさを理由に、二人きりで話す時間を何か月も避け続ける。夫の答えはこうでした。
夫「やっぱ会話、スキンシップ、コミュニケーション、大事だと思う」(録音 40:26)
夫「忙しくても5分でも10分でもいいから」(録音 40:33)
ただ、妻はもう一歩先を見ていました。
妻「話したくなくなっちゃう原因が何なのかって話じゃん」(録音 40:46)
時間がないんじゃなくて、話したくない理由のほうが先にある。 そこを見ないで「毎日15分話しましょう」と決めても、続きません。じゃあ、その理由は何か。
妻「夫婦っていうカテゴリーでどういう関係性を築いているのかっていう、パターンがもう何万通りもある」(録音 41:27)
友人や同僚なら、関係の距離はだいたい決まっています。夫婦だけが、何も決まっていない。 だから、こうなりました。
夫「そもそも夫婦のあり方が家庭によって違うから」(録音 42:39)
正解はない。 46分話して、ここに着きました。
でも、これは投げやりな結論じゃありません。よその夫婦の正解が、うちには効かない。なら、うちの答えは、うちで話して作るしかない。 冒頭の「だから言いたいことを言いあおう」に、46分かけて戻ってきました。
じゃあ、なぜそこまでして話すのか。二人が繰り返し戻った場所は、前半にも出てきたあの話でした。
夫「そこの人間関係以上の人間関係ってある?って」(録音 43:25)
一番長く一緒にいる相手だから、いちばん上に置く。
その理由は、きれいごとじゃありません
ここは二人が交互にしゃべっていて、どちらの言葉か切り分けられません。名前は書けませんが、いちばん正直な部分です。
「自分が幸せに生きるために、ある意味、ずるがしこく」(録音 43:34)
「そこの関係を良くすることによって、生きやすくなるっていうこと」(録音 43:40)
相手のためじゃなくて、自分が生きやすくなるため。 いちばん近くにいる人との関係が荒れると、自分の毎日が荒れる。だから良くしておく。
夫「自分のことを考えてるわけではないんだけど、奥さんが妻がニコニコして元気でいることが一番幸せだと思うっていうか」(録音 44:00)
言い直しの跡も、そのまま載せています。きれいごとじゃないから、続いています。 最後、二人で同時に同じことを言いました。
夫「すごい平凡な言い方だけど、相手の立場になって考える」(録音 44:54)
妻「相手の立場になって考える」(録音 44:58)
46分かけて、標語みたいな一行に戻ってきました。 でも、ここまで読んでもらえたなら、意味が違って見えるはずです。相手の立場は、分かるものじゃなくて、分からないまま想像しにいくもの。 だから、話すのをやめない。
締めの一言は、これでした。
夫「夫婦は他人なんだから、自分と一緒の人じゃない。自分じゃないから大切にしないとね」(録音 45:21)
私たちが「夫婦は他人」と名乗っている理由も、これです。他人だから、雑に扱っていい相手じゃない。他人だから、大切にする。
よくある質問
Q1. 「手伝おうか」って、そんなに悪い言葉ですか?
うちの結論は、場面によります。やらなくても困らないことなら「手伝おうか」でよくて、やらないと生活が止まることには成立しない。 相手がムッとしたら、その家事がどちら側かを聞いてみてください。
Q2. うちは、もう話し合いにもなりません。
私たちも46分話して、出てきたのは「正解がないから、話すしかない」でした。よその家に効く答えは持っていません。なお、これは日常のモヤモヤの話です。暴力がある、心や体に不調が出ている、離婚の法的な手続きを考えている——そうした深刻な状況は、私たちの体験談で解決できる範囲を超えています。一人で抱えず、自治体の相談窓口や専門家(配偶者暴力相談支援センター、医療機関など)を頼ってください。
まとめ
- 悪くなる入口は「言いたいことが言えなくなる」こと。縁が切れない関係だからこそ、飲み込むほうが安全に見える
- 飲み込んだものは消えず、蓄積する。「もう喧嘩するのもめんどくさい」まで来ると、外からは静かな家に見える
- 世間でよく聞く原因を30個ならべて答え合わせをしたが、うちに当てはまったものはほとんどなかった。世間の通説(愚痴に上からアドバイスするのは夫)も、うちでは逆
- 意見が割れたのは2か所(名前で呼ぶか/手伝おうか)。片方が引き下がったのは「手伝おうか」の1つだけ。分かれ目は「やらなくても困らないこと」と「やらないと生活が止まること」
- 結論は「正解がないから、話すしかない」。夫婦のかたちは家庭ごとに違うから、うちの答えはうちで話して作る。忙しくても、5分でも10分でも
(→ 第1弾 職場の後輩には気を使うのに、なぜ夫婦間では「やってよ」と言ってしまうのか/第2弾 「ありがとう」を言ってくれない夫・妻へ/第3弾 夫婦の意見が割れたら、どうやって決める?)
今日の行動をひとつ
今日、言おうとしてやめたことを1つ思い出してください。 「言っても変わらないから」でも「めんどくさいから」でも、飲み込めば同じように積もります。だから、その1つだけでいいので、言ってみてください。 私たちも46分話して、やっとそこに戻ってきました。
この記事は、実在の夫婦(プー太とプー子)の会話の録音をもとに作成しています。会話の引用は録音に実在する発言のみで、口語を読みやすく整えています。


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